基礎工学 連携融合事業セミナー(平成23年度 第2回)
(グローバルCOE講演会・固体物理セミナー)
日時:10月27日(木) 14:40-16:10
場所:基礎工学部 A棟403
講師:玉作賢治 (理化学研究所・播磨研究所)
題目:X線パラメトリック変換の物理と物性への応用
要旨:
1960年のレーザーの発明を境に、光学領域での非線形応答は精力的に研究され、現在では学術分野のみならず、実生活においても広範に活用されている。非常に波長の短い硬X線(以下単にX線)の領域でも、光学応答に非線形性があることは早い時期から指摘されていた。そして1971年には2次の非線形光学過程であるパラメトリック下方変換(PDC)の観測が報告されている。しかし、その後、X線レーザーが実現出来なかったためX線非線形光学は長らく停滞する。近年になって、講演者のグループは高度な観測技術を駆使して、X線PDCを定量解析に耐える精度で測定できるようになってきた。この結果、2次のX線非線形光学過程に関して様々なことが分かってきている。一方で、一昨年のLCLS(米国)に続き、今年はSACLA
(日本)がX線レーザーの発振に成功し、X線非線形光学とうい研究分野が立ち上がってきている。
講演では、X線と光学領域での光と電子の相互作用の違いから始めて、それがX線非線形光学過程の中にどのように現れるかを、付随して観測される特異な物理現象と合わせて紹介する。また、X線PDCと局所的な光学応答の関係を議論し、その物性研究への応用の可能性も議論する。